建築デジタルエンジニア

デジタルの力で現場を支える

伊藤 あかねの写真

建築デジタルエンジニア

デジタルの力で現場を支える

伊藤が所属するデジタルプロダクトセンターの建築生産室は、主にBIMを活用して作業所業務の効率化を支援する部署だ。2010年に入社した伊藤は、現場勤務を経て2019年から当部署に所属している。「例えば作業所の担当者が複雑な設計図を、3Dデータを用いて確認したいときに、私たちの出番となります。どんなデータを、どんなカタチで求めているのかをヒアリングしたうえで、BIMに落とし込んで現場に提供します。作業所のメンバーが仕事をしやすいよう、デジタルの力を活かし、DX化につなげていくのが私たちの役割です」

INTERVIEW

伊藤 あかねの写真

伊藤 あかね

AKANE ITO

芸術文化学部 造形建築科学コース 卒
2010年入社

※内容は取材当時のものです

仲間と達成した地図に残る仕事

BIMを駆使して現場のニーズに応える

建設業界ではデジタル技術の活用が進んできているものの、実際に工事を行う現場作業所では、まだまだ人力に頼らざるを得ないケースも多い。建築工事の施工管理経験がある伊藤は、現場でのデータ運用の難しさを痛感していた。

「例えばCADやBIMのように、デジタル技術そのものは進化しているのですが、現場ではそのデータをうまく使いこなせず、結局作業の効率化が進まないといった事例があります。データを作ることはもとより、現場でどのようにデータを活用するのか、データの使い方を含め、現場の作業が効率化できるようにサポートするのが私の仕事です」

伊藤には思い出深い案件がある。2021年頃に担当した、とある図書館の建設プロジェクトだ。本件でもBIMを活用して作業所を支援する予定だったが、当該物件は屋根の形状が特殊であり、既存のBIMソフトでは作業所で運用できるレベルのデータを作ることが困難だった。何とかできないだろうか――。伊藤がひらめいたのは、異なるBIMソフトを併用して、最適なデータを構築することだった。

「実は現場時代に1度だけ使ったことのある別のBIMソフトがあって、当時使い勝手が良かったので、併用すれば精度の高いデータが作れるのではないかと思いました。当初、そのBIMソフトを扱えるスタッフが少なかったのですが、試行錯誤を重ねてデータを完成させていきました」

着工当初は一般的なBIM活用として、3Dでの納まり確認や設備工事の空間調整などに使用していたものの、工事が進むにつれて、作業所からは部材の断面図や、現場での精度管理のためのデータなど、多岐にわたる資料作成の依頼が舞い込むように。早い段階からBIMソフトを併用してデータを作成していたため、そうした依頼にもタイムリーに応えることができた。

「直接現場で建物をつくる仕事ではないのですが、デジタルデータという側面からプロジェクトに関わり、工事を支えることができるのは、この仕事の魅力だと思います。BIMデータはあくまで現場の仕事を進めるための手段ですので、“どんなデータや資料がほしいのか”というニーズに基づいて、現場の声にしっかりと耳を傾け、行動するのが大切なのかなと思っています」

プロジェクトの成功には、作業所のメンバーだけでなく、現場を陰で支える仲間たちの存在が欠かせない。デジタルプロダクトセンターの仕事はまさに、“縁の下の力持ち”としての作業所を支えることである。彼女の活躍が、大成建設の発展につながっている。

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仕事について

  • 仕事のやりがいは何ですか?

    なんといっても大規模プロジェクトに携わることができるのは、大成建設で働く大きな魅力であると感じます。高層ビルやスタジアム、大型商業施設など、その土地のランドマークとなるような物件を手がけ、その経験が成長へとつながります。またそれらの仕事は一人で完結するものはなく、社内外を含め多くの人と協業しながら工事を進めることになります。その結果として、大きなプロジェクトを完成させることができるのは、当社で働くことの醍醐味です。

  • 入社理由は何ですか?

    学生時代からものづくりに興味があり、建築学を学んでいました。設計事務所なども視野に入れていましたが、先輩から「現場は面白いよ」という話を聞き、せっかくこの世界に飛び込むなら現場を経験してみたいと、ゼネコンの施工管理職が第一志望でした。大成建設の作業所見学の際に、所長から「現場は楽しいけれど、大変なこともたくさんある。よく考えてから就職先として選んでほしい」と言われました。仕事の厳しさも包み隠すことなく伝えてくれる姿勢に感銘を受け、大成建設への入社を決めました。

  • あなたにとって「地図に残る仕事。」とは?

    全ての仕事が華やかなものではないのですが、自分の携わった物件が形として残り、エンドユーザーの方が日々過ごす場所、思い出の一部となることに変わりはありません。多くの人の仕事がこうして形として残っていくことに魅力を感じていますし、未来をつくるものだからこそ、品質やその過程が技術者として胸を張れるものになっているか、真摯に向き合う必要があると思っています。そんな誇りある仕事こそ、「地図に残る仕事。」なのだと思います。

  • 今後の目標を教えてください

    現場時代からずっと目標にしているのは、「携わった人みんなが幸せになる仕事」をすることです。当社やお客様だけではなく、協力会社や職人さんなど、関わる人それぞれが満足し、良い仕事ができたと実感してもらえるように、調整することが大切だと考えています。現在は最前線の作業所からは一歩離れた立場ですが、作業所の仲間たちが効率的に働き、より良い仕事ができること、お客様、設計者などの関係者が納得して工事を進められるよう、支援していくことを目指しています。そのために、物件ごとに求められるデータを、適切に作っていきたいです。

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同僚からのコメント

村松 宏多

建築デジタルエンジニア

伊藤さんは私の4年後輩にあたるのですが、2020年からこのデジタルプロダクトセンターで一緒に働いています。伊藤さんは豊富な現場経験があり、自分の意見をはっきりということができる人なので、後輩ながら頼りになる人材です。「もっとできることはないか」と日々考えながら成長しているので、今後への期待も大きいです。デジタルの力で会社を引っ張っていってほしいですね。

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